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2021.6.18

寒空でも楽しい!冬を元気に乗り越える”力をくれる”食事法

(2017年12月公開)

年末年始の慌ただしい時期。疲れや寝不足など、体の調子を崩しやすい時期でもありますが、ブランズフィールドではしっかりと力になる食事を取り入れて、この冬もみんな元気に過ごしています。今すぐでも取り入れられる、冬の過ごし方を聞いてみました。

体に大地のエネルギーを取り込む意味

12月のブラウンズフィールド。四季を通 して比較的温暖な南房総とはいえ、あちこち冬支度が進む時期 。納屋や倉庫、農作業の資材置き場など、少しずつ片付けと大掃除が進められていました。

 

またこの日は、今年とても豊作だったという大豆の脱粒(だつりゅう)が行われていました。

脱粒とは、乾燥した大豆のサヤから中の大豆を取り出すプロセス。見慣れた姿になったかわいい大豆たちはその後 、虫食いなどを除 く選別のプロセスを経て、初めて大豆として使える状態になるのです。

ブラウンズフィールドにとっての大豆は、米 ・小麦 とともに”3大作物”のひとつ。田んぼのお米を麹にして、この大豆で一年分の味噌を仕込みます。

毎日の食事を支えるご飯と味噌汁を、材料から作り上げる。作物を育ててくださった方の時間や思いを想像すると、ひと口ひと口に感謝が込み上げ、噛めば噛むほど、この大地とのつながりが生まれるような気持ちになります。

ご家族やスタッフの方だけでなく、カフェのお料理にも使 うお米や大豆は、年間どのくらいの量が必要なんでしょうか?という質問への答えに、デコさんが大事にしている暮らしの本質を見ました。

「お米や大豆はとっても大切だけど、毎年どれだけ絶対に収穫してほしい、なんて全然考えないの。採れた分だけをありがたくいただく。足りなければ、ご近所から買うのよ。」

食料庫 にはたくさんの味噌樽 。

身土不二(しんどふじ)という言葉に表されるように、人間の体は、その土地でできた季節の食べ物をエネルギーとして取り入れることで健康が保たれる、という先人からの教え。

それを日々の暮らしで実践してきた結果 、地に足がついたような落ち着きや軸が形成されたようです。しかしそんなデコさんの思いに応えるかのように、今年の大豆も豊作 。例年 、お米も大豆も自給できているそうです。本当に素晴らしいですよね。

また取材の途中 、ご近所の方とデコさんが短い会話を交わす瞬間がありました。その他愛もないやり取りには、同じ環境で暮らしてきた仲間としての信頼が溢れており、デコさんがいかにこの土地を愛し、この土地に根付いた暮らしをしてきたのかということを再認識しました。

先月仕込んだ柚餅子もたくさん干してあります。

12月の季節の手仕事

「だいたいこの辺に生えてるんだけど…」とデコさんが言うのは、母屋のそばにいつも自然発生するというこんにゃく芋。しかし「収穫のタイミングを見計らっているうちに、なくなっちゃったりするんだよね」と笑いあう皆さん。

どこまでも自然体で素敵です。そこでご近所の佐野さんが育てた生芋をお借りして(御礼はできあがったこんにゃくという素晴らしいローカルエコノミー!)こんにゃく作りを教えてくれました。

生 のこんにゃく芋 はこんな感 じ

ちなみに、こんにゃく芋って、実はすごく時間をかけて成長することをご存知でしたでしょうか?過湿や乾燥に弱く、生育には水はけの良い斜面などが適 していますが、収穫と植え付けを繰り返 し、こんにゃく芋 として完成するにはなんと3年も掛かるのです。

さらに、しびれるほど強いアクをもっているため、素手で触ることを避け、さらに生のまま口にしたり、調理中に目に入 ったりもしないように気をつけましょう。(こんにゃく芋って、知れば知るほど、最初に食べた人の勇気を尊敬します)

<材料>

1.こんにゃく芋500g

2.50度のお湯1650cc

3.水酸化 カルシウム4g

4.水100cc5.青のり、唐辛子 、ゴマなどお好みで(なくても良い)※必ずゴム手袋を用意 しましょう。

<作 り方>

1)こんにゃく芋をよく洗い、皮をむき、一口大に切る。このとき皮を少 し残すと仕上がりがグレー色になります。

2)50度のお湯1650ccと共にミキサーにかける。3)ボウルなどに入れて40分間ほどそのまま寝かせる。

4)40分後、ゴム手袋を装着 し、3)を糸が引 くくらいの粘 りが出るまで10分間ほどよく揉む。

5)別の容器に、水酸化カルシウムとお水を入れてよく溶かす。

6)上記4)に5)を入れて、1〜2分よく揉む。青のりなどを入れる場合は色がつく程度にお好みで入れてよく混ぜる。

7)バッドに流し込み、平に整えて、空気を抜 く。

8)そのまま20分間ほど寝かせる

左 は青のり入 り、中央 は唐辛子粉入り、右がプレーン。

9)20分経ったら、適当な大きさに切 り分けて、30分間ほど熱湯で茹でる。10)粗熱が取れるまで寝かせた後、水を張ったタッパーに入れて冷蔵庫で保存。

作業的にも材料も比較的シンプルに出来上がった手作りこんにゃく。できたてのみずみずしさと、透明感あるお味にびっくりしました!

デコさんのお気に入りは、うすくお刺身のようにして柚子胡椒と自家製醤油 、もしくは酢味噌でいただくことだそう。煮物にしたり、ぬか漬けなどにしてもおいしそうです。

比較的寝かせる時間が多いこんにゃく作りは、他の作業と並行しながらもできそうで、この時期に作っておくとお正月にも重宝 しそうですね。

材 料 からブラウンズフィールド産 の自家製醤油と柚子胡 椒で。
材 料 からブラウンズフィールド産の自家製醤油と柚子胡椒で。
デコさんはいつもチャーミングでかわいらしい。

 

魅力的なイベント多数。農ライファ―ズイベントも開催!

デコさんの暮らしは、身土不二に加え、食物の全体をいただく一物全体という考え方に基づき、食べ物を粗末にしない廃棄ゼロ(ゼロウェイスト)がベースです。自分たちで育てて作 った大切な食材ですもの、無駄にするなんてありえないですよね。

月に1回 、ご家庭で余 らせている食材を持ち寄って、デコさんと一緒においしく調理するという、ニュータイプのお料理教室 「あるもんできっちん」が開催されています。お台所で眠らせている乾物やスパイスなど、見て見ぬふりし続けているのなら、お問い合わせしてみてくださいね。

他にもブラウンズフィールドではいつも様々なイベントが企画されており、現在も、年末年始に半断食し、新しい年をすっきりと気持ちよく迎える毎年人気のプログラムや、NOU ONLINE SALONの会員さんたちにもピッタリな、岡本よりたかさんに学ぶ無肥料栽培合宿セミナー、さらにブラウンズフィールドの身土不二を実体験できるサスティナブルスクールといった魅力的なイベントが受付中 。

□講師プロフィール

中島デコ (千葉県いずみ市 / ブラウンズフィールド

マクロビオティック料理家。東京生まれ、4人姉妹の長女。16歳でマクロビオティック(以下:マクロビ)と出会う。24歳、結婚を機に マクロビの道へ進むことを決意し、 『リマクッキングスクール』で学び、師範科を卒業する。3人の子どもを授かった後、結婚生活に終止符を打ち、子連れで渡米。Kushi Instituteにて、アシステントをして経験を積む。1986年から自宅のキッチンを使っての料理教室『ワンダーマミー』を開く。写真家エバレット・ブラウンと2度目の結婚後、2人の子どもに恵まれ、2男3女の5人の子どもを育てあげる。このような経験に基づく料理指導が、多くの母親たちの支持と共感を得る。1999年、家族で千葉県いすみ市に移住。田畑付き古民家スペース「ブラウンズフィールド」を設け、世界各国から集まる若者たちとともに、持続可能な自給的生活をめざす。子育てをしながら、たくさんの研修生やスタッフと共に住みつつ、ブラウンズフィールド内に、カフェ「ライステラス」、イベント宿泊スペース「サグラダコミンカ」、ナチュラルオーベルジュ「慈慈の邸」、ナチュラルストア「アサナ」をオープン。
2016年出版部門BF Books を立ち上げ、2017年『ブラウンズフィールドの丸いテーブル』を出版。現在、国内外で、講演会やマクロビオティック料理講師として活躍中。料理本やエッセイ等、著書多数。